コロナショックの影響で赤字となったソフトバンクグループの2020年本決算内容を簡単に調べてみました。孫社長の決算説明動画を見たところ、「ソフトバンクグループの株主価値が3割減少したわけでなく、たった数パーセント程度だ」とおっしゃっていました。赤字の金額は大きいですが、まだ社長には余裕が感じられました。<m(__)m>
2020年3月期の本決算発表内容
ソフトバンク 9984の株価
●2020年5月19日終値:4494円
●配当:44円(2021年は未定)
●配当利回り:0.97%
●PER(株価収益率):0
●PBR(株価純資産倍率):1.36
●株主優待:なし
↓現在のチャートの動き。コロナ禍では2609円まで下落しました。コロナ第二波が来たらこの位また下落するのだろうか(@_@)

・2016年9月アームを子会社化
・2017年5月ビジョンファンド誕生
・2018年12月通信事業ソフトバンク(株)東証一部上場
・2019年9月WeWorkのIPO失敗
・2020年2月スプリントがTモバイルと合併
営業利益は大幅赤字
連結業績です。決算期間は2019年4月1日~2020年3月31日までです。
IFRS会計です。
↓昨年比
●売上高 6兆1850億9300万円 +1.5%増
●営業利益 △1兆3646億3300万円 赤字
●税引前利益 354億9200万円 -97.9%減
●当期利益 △8007億6000万円 赤字
●親会社の所有者に帰属する当期純利益 △9615億7600万円 赤字
●当期包括利益 △1兆2903億3900万円 赤字
2019年の営業利益は2兆736億3600万円でした<m(__)m>営業利益は赤字ですが、アリババ株を売却したことから税引前利益はわずかな黒字となっています。
損益計算書
営業利益が赤字となった主な要因は、ビジョンファンドの事業損失です。ビジョンファンドの事業損失の内訳はUberやWeWork、その他投資先によるものです。孫社長は、コロナ禍で15社ほど倒産するだろうと予測しています。
●ビジョンファンド事業損失の内訳
△1兆9313億4500万円=投資損益△1兆8448億6700万円+営業費用△864億7800万円
●ビジョンファンド投資損益△1兆8448億6700万円(17,263百万ドル)の内訳
・Uber…△5179百万ドル
・WeWorkおよび関係会社…△4582百万ドル
・その他投資先…△7502百万ドル
ビジョンファンドの投資成績
ビジョンファンド2017年5月20日開始から2020年3月末までの成績です。
●実現益+評価益=1.4兆円プラス
●評価損=1.5兆円マイナス
トータル1000億円の損失となりました。
これはビジョンファンドの累積投資金8.8兆円のうち、わずか1%に過ぎません。

現在のソフトバンクG株主価値
直近2020年5月18日、コロナショック緩和後のソフトバンクグループの株主価値は2019年12月末時点の23兆円から21.6兆円になりました。(約6%減少)
孫社長いわく「株主価値が3割減ったわけではない、数パーセントの減少である。仮にビジョンファンドの価値を0と見なしても、アリババ、Tモバイルの株を売却すればソフトバンクGの時価総額以上の価値がある」とのことでした。確かにこの図で見れば、ビジョンファンドで失敗してもアリババを売却すれば良いと見えます。<m(__)m>
会見では、アリババの価値が下がらない限り余裕であるという風に見えました。

バランスシート
〇流動資産15兆6369億4300万円>流動負債14兆1911億3300万円
〇非流動資産21兆6203億4900万円<資本7兆3729億1700万円+非流動負債15兆6932億4200万円
流動比率110%=流動資産÷流動負債×100(前年89%)
自己資本比率19.7%=純資産÷総資産×100(前年24.9%)
ROA 0.095%(純資産利益率)=当期純利益÷資産(前年2.4%)
ROE 0.48%(自己資本利益率)=当期純利益÷純資産(前年18.6%)
スプリント事業が「売買目的保有に分類された資産」に計上され、流動資産が増加しました。
バランスシートは、流動資産が15兆円(現金が3.3兆円)あるので今回の1兆円程度の赤字では倒産しないと判断しました<m(__)m>
前年は高ROEでしたが、今期は1%以下になりました。
キャッシュフロー
・営業キャッシュフロー→プラス+1兆1178億7900万円
・投資活動キャッシュフロー→マイナス-4兆2869億2100万円
・財務活動キャッシュフロー→プラス+2兆9208億6300万円
△営業活動のキャッシュフローの主な増減は、前期にソフトバンクグループジャパンにおいて発生したソフトバンク(株)株式売却益などに対する法人税3212億9000万円を納付で減少。全体ではプラス。
〇投資活動のキャッシュフローの主な増減は有形及び無形固定資産の取得でマイナス。(ソフトバンク株が5G向けを含む通信設備の取得による支出、子会社がWeWorkの株式取得、ZホールディングスのZOZO株式取得など)
〇財務活動のキャッシュフローの主な増減は短期有利子負債の収入、有利子負債の収入によりプラス。
これは積極投資型のキャッシュフローです<m(__)m>
セグメント別利益
●売上高と昨年比
・ビジョンファンド事業(ファンド事業のため売上なし)
・ソフトバンク事業 4兆8624億8400万円…+4.5%増
・アーム事業 2066億5200万円…+2.0%増
・ブライトスター事業 9554億1500万円…-11.8%減
・その他事業 1937億4200万円…+1.2%増
●売上収益と昨年比
・ビジョンファンド事業 △1兆9313億4500万円
・ソフトバンク事業 9233億1400万円…+7.4%増
・アーム事業 △428億1900万円…-131%減
・ブライトスター事業 △53億2800万円…+77%増
・その他事業 △2495億4900万円…-170%減
ソフトバンク事業以外は赤字です<m(__)m>
・ビジョンファンド事業…ソフトバンクビジョンファンドのテクノロジー分野投資活動
・ソフトバンク事業…通信事業ソフトバンク(株)、Zホールディングス
・アーム事業…アーム社によるテクノロジー事業
・ブライトスター事業…ブライトスター社による海外携帯端末流通事業
・その他事業…PayPay㈱、フォートレス、ラテンアメリカにおけるファンド事業、福岡ソフトバンクホークス
※スプリント事業は非継続事業に分類
まとめ
コロナ禍により来期の業績、配当は未定です。コロナの第二波が来れば、業績悪化は避けられず配当も難しいです。
孫社長は運が良さそうなので、ビジョンファンドの投資先が大当たり、もしくはアリババ株の更なる値上がりでソフトバンクGの株価がじわじわと上昇するかもしれません(@_@)